間
森繁久彌さんが亡くなった。
僕は学生時代、放送部のアナウンス担当だったこともあって、NHKラジオの「日曜名作座」をよく聴いていた。
森繁さんと加藤道子さん。二人が何人もの男役、女役を演じていた。(加藤さん亡き後は、再放送がなされているらしい)
この番組を通して、僕は文章や台詞の<間>というものを、知らず知らずのうちに習ったように思う。父が国語の教師だったことが遠因としてあるのかもしれない。国語の授業中、よく「渡部、読んでみろ」と名指しされ、心のどこかで「待ってました!」の自信めいたものも生まれていた。
しかし、実を言えば・・・僕は、森繁さんの軽妙洒脱な人柄に憧れの念を抱き続けていたと言えるだろう。くそまじめ一辺倒な自分が嫌で堪らなかった。その点、大真面目かと思えば、洒落っ気があって、ちょっとエッチで、そしてまた奥深い話に切り替わって・・・そんな善悪・陰陽入り混じった何とも言えない雰囲気が憧れであった。
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