わたなべあきおWeb

感想文

 ある組織の全国大会(研究・交流)なるものに参加させてもらった。いくつもの分科会があり、僕は自分の職業分野に関連する会の席についた。会場にあてられた大学の教室は、補助席が必要となるくらいの盛況(?)で、裏を返せば、それだけ現状の深刻さを表していた。

 予定通り(おそらく・・・)の議事進行の中で、発言者の腰を折るかたちで、一人の女性の声が飛んだ。「私たちは、縋る思いで此処に来てるんです。身近なところで自殺者も出てるんです。私たちにとっては、今日明日の問題なんです。今日のテーマは<仕事おこし>じゃないんですか!」

 たしかに、客層のちょっと高い中での成功者の自慢話(ご本人はまったくそんな思いがないのは百も承知なのだが)のオンパレードでは、おいちょっと待てよ〜も理解できる。加えて行政サイドの悲観的な数字報告では、いまいち説得力がない。

 この女性の発言をきっかけにして、あちこちからごく現実的な、切実な悩みや意見が次々と飛び出してきた。たしかに、特効薬のような名案はないのかも知れない。しかし、何某かの希望に繋げる勇気ある発言だったと言える。

 片や、「同病、相憐れむ」ではいけないんだ〜の意見もあるだろう。しかし、露骨な上から目線やクールな客観視ばかりでは現実的な打開策は生まれないように思う。

 待ち(静)の姿勢から具体的行動へ・・・願わくば、「同憂相救う」へと結びついて欲しい。

(Update : 2009/11/01)