能忍
秋雨の降る夜の坂道
幼いころ、バス停で親の帰りを待っていた・・・
あの時の何とも言えない寂しさに似た感情に包まれる。
誰を恨むわけでもない。
誰を羨むわけでもない。
ましてや、時の巡りあわせや世の中を憂うわけでもない。
ただ・・・ただ・・・
己の非力、至らなさを思うのみ。
ふと
♪今はもう秋 誰もいない海
知らん顔して ひとが行きすぎても
わたしは 忘れない
海に約束したから
辛くても 辛くても
死にはしないと
♪僕は 呼びかけはしない
遠く過ぎ去るものに
僕は 呼びかけはしない
かたわらを行くものさえ
見るがいい
黒い水が
抱き込むように 流れてく
少女よ 泣くのはお止め
空も海も 川も土も
みんな みんな
たわむれの 口笛を吹く
<能忍>とは、仏の別号らしい。
ひたすら耐える。
ひたすら忍ぶ。
そして・・・その底から湧きあがるエネルギーに
己の未来を託してみよう。
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