わたなべあきおWeb

背景の記憶(38)

二十歳のころ

六畳一間の安アパート

風邪のため、バイトを休んで寝袋で犬のように眠っていた。

突然、地震!

びっくりして飛び起きた。

玄関側からは二階、裏から見ると三階という建物。

ヒョロッとしているから、揺れには弱い。

しかし何か変だ。

・・・・・・・・・・

しばらくして、また揺れた。

揺り戻しか?

・・・と思いきや

隣の部屋から声がする。

声と揺れが微妙にかみ合っている。

なるほど・・・

そういうことか・・・

あくる朝

隣の女は、鼻歌を歌いながら洗濯をしていた。




向田邦子の「隣りの女」を読みながら思い出した。

晩生の僕には、刺激的すぎる出来事だった。

(Update : 2008/10/14)