わたなべあきおWeb

背景の記憶(18)

   夏祭

櫓や
幟や
洗い晒しの浴衣や
団子や
煮しめや
それらがどうしたというのだろう

暮れなずむ
峠を越えて

隣部落の砂浜に

少年の私は
何を上気していたのだろう

灰色の沖が運んでくる
湿っぽい汐の香り

静かで
浮ついて
人々が
うようよと
行き来している
祭りの記憶
           
             (渡部華生)

(Update : 2007/10/01)