背景の記憶(8)
祖父母の居なくなった島の実家
うす暗い中二階の部屋に
糸の切れた三味線が、無造作に置かれていた
結婚前、義弟と三人で帰ったとき
祖父が三味線を弾き、祖母がきれいな高音で唄ってくれた
どっさり、しげさ節・・・
本しげさは唄えないけど
新しげさを口ずさんでみる
♪忘れしゃんすな〜・・・・・・・・
薪で焚く五右衛門風呂
モクモクと立ち上る煙と煤の臭い
囲炉裏の何とも言えない風情
広い中庭、離れのトイレ、牛舎、馬小屋、米搗き場
湧き水の水汲み作業
三味線の音とともに、様々な光景が思い浮かぶ
祖父母はあの世でも
共に唄い奏でているだろうか?
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