わたなべあきおWeb

背景の記憶(7)

数字の上では七人兄弟

実母の子としては末っ子だけれど・・・

三人幼くして死んでるから、兄姉と一緒に暮した記憶はないし・・・

異母の弟とは十歳も離れているし・・・

結局は、ひとりっ子みたいなもの

弟ができてからは、身も心も独りっ子

家を出るということは、僕自身の中では大それた事件でもなく

ごく当たり前の自然な流れ

しかし・・・廻りは狼狽え大騒ぎをする

「父よさらば 兄よ姉よさらば 可哀想な継母よさらば 何も知らぬ弟よさらば・・・」

18の叫びは、今以上に冷静で、遥か遠くを見ていた

荒波に飛び込むというような高ぶりもなく

入水というような悲壮感もなく

ただ・・・

亡母に導かれるかのように、歩き始めていた

(Update : 2007/06/25)