背景の記憶(7)
数字の上では七人兄弟
実母の子としては末っ子だけれど・・・
三人幼くして死んでるから、兄姉と一緒に暮した記憶はないし・・・
異母の弟とは十歳も離れているし・・・
結局は、ひとりっ子みたいなもの
弟ができてからは、身も心も独りっ子
家を出るということは、僕自身の中では大それた事件でもなく
ごく当たり前の自然な流れ
しかし・・・廻りは狼狽え大騒ぎをする
「父よさらば 兄よ姉よさらば 可哀想な継母よさらば 何も知らぬ弟よさらば・・・」
18の叫びは、今以上に冷静で、遥か遠くを見ていた
荒波に飛び込むというような高ぶりもなく
入水というような悲壮感もなく
ただ・・・
亡母に導かれるかのように、歩き始めていた
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