わたなべあきおWeb

慈愛

わずか二歳の、あどけない姪の娘を見るたびに

幼子を残して去らねばならない

母親の心中を想い・・・心が痛む

傍目には、はっきりと人物を見分けてるように想えるけれど

そんな記憶が残っていないのは、僕だけのことなのだろうか?

あたかも・・・誰かが(意識的に)消したかのように・・・

ゼロ歳時に、人間の本質は固まると聞く

三歳までで、人間の性格は出来てしまうと聞く

親が・・・環境が・・・何を植え付け、何を注ぎ込んだか?

こらえ性のない涙もろさは、持って行き場のない悲しみの泉

幼子を胸に抱き締め零した・・・万感の涙の泉か

いまこの胸に眠る幼子に、笑みとぬくもりを注ぎ続けたならば

はるかおおきくなって、心優しき乙女になってくれるだろうか

そんなことを想い巡らせば・・・

母の流したであろうその雫は、悲しみではなく

慈しみの雫であったことに辿り着く

(Update : 2005/10/11)