慈愛
わずか二歳の、あどけない姪の娘を見るたびに
幼子を残して去らねばならない
母親の心中を想い・・・心が痛む
傍目には、はっきりと人物を見分けてるように想えるけれど
そんな記憶が残っていないのは、僕だけのことなのだろうか?
あたかも・・・誰かが(意識的に)消したかのように・・・
ゼロ歳時に、人間の本質は固まると聞く
三歳までで、人間の性格は出来てしまうと聞く
親が・・・環境が・・・何を植え付け、何を注ぎ込んだか?
こらえ性のない涙もろさは、持って行き場のない悲しみの泉
幼子を胸に抱き締め零した・・・万感の涙の泉か
いまこの胸に眠る幼子に、笑みとぬくもりを注ぎ続けたならば
はるかおおきくなって、心優しき乙女になってくれるだろうか
そんなことを想い巡らせば・・・
母の流したであろうその雫は、悲しみではなく
慈しみの雫であったことに辿り着く
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