走る
僕は時々、いやしょっちゅうかな、廻りの声や音から遮断された世界に入り込むことがある。それがひとの言う「あなたはどこか遠くを見ている」なのだろうか?
「聞いてないでしょう?」の言葉で現実に引き戻される。「さっき**してって頼んだでしょう!」「何だった?」「もう〜!」よく繰り返されてきた会話だ。
陽水ではないが「夢のなかへ 夢のなかへ 行ってみたいと思いませんか・・・」僕は独り夢旅行をしてるんだろうな。
現実は重い。のしかかって来る。僕は笑っているが、こころは違う。泣きもしないし、逃げもしないが、心は・・・うまく表現できない自分がいる。
ひとの笑い声や車の騒音が、まるでラジオのボリュームアップのようにだんだん大きくなってくる。そして肩を叩かれ、ドアーをしめる音で現実に引き戻される。テレビの静止画像が再び動き始めるように、僕の身体が反応する。その後を急いで心が身体に追い付こうとして走る。走る。
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