わたなべあきおWeb

おとうさん

先日姪の娘に会った時の話。
3回ほどうちで預かった事があるだけなのだが・・・。廻りにも親族が十人くらいいて、本人はみんなの人気の的。
ところが、彼女は僕を見つけると、やっと這い這いで前進が出来るようになった所なのに、それこそ全速力!?で一直線に僕の所へやってきて、しがみついてきた。笑顔一杯である。
廻りのみんなは、一瞬ポカン・・・状態。
「えっ〜!オッチャンがスキなんや〜」
彼女はもう僕の膝に腰掛けて、みんなの方に笑顔を振りまいている。

僕は廻りのみんなとは多分違う事を考えていた。
当然親は離婚したから父親はいない。身近にいる男性はおじいちゃんだけで、あまり子煩悩ではない。彼女はたぶん本能的に父性愛を求めてるんだろうなと。そう思うとごく自然に僕に抱かれている彼女がとても愛おしくギュッと両の手に力を入れた。

そしてこの愛嬌のある彼女が、僕と重なった。母恋しの幼年期、笑顔よしのあきちゃんと重なった。何か傍からはわからない深く強い糸でつながってるような気がした。僕が味わったような淋しさや辛さは、出来るだけ軽減してやらねばと思った。

幼子も大人も、ひとの心は通じるものだと確信二乗倍の最近の僕である。

(Update : 2004/06/18)