わたなべあきおWeb

なまえ考

僕は(渡部)と書いて(ワタナベ)なんだけど、これで(ワタベ)というひとも少なくない。

親父夫婦がうちの隣に住んでいた頃の話。病院へ連れて行って名前の呼ばれるのを待っていたところ、「ワタベさ〜ん!ワタベさ〜ん!」の声。ところが当の本人(義母)は知らん顔。脳梗塞をやっていたので聞こえないのかな?と思っていたら、もう一度「ワタベさ〜ん!」の声がして看護婦さんが二人に歩み寄ってきた。「ワタベさん!あなたですよ」と優しい声。すると義母は、
「わたしゃ、ワタナベですけん!」と強い語調で言い放った。廻りは唖然と笑いの入り混じった複雑な雰囲気。父はこう言う時、変な観察癖があって黙って見守っている。すると看護婦さんはここで偉かった。「アラ、ごめんなさいね。ハイ、ワタナベさん!あなたの番ですよ〜」すると義母は「ハイッ!」と小学一年生のような元気の良い返事をして立ち上がった。

僕は少し離れたところで一部始終を見ていたのだが、これならまだボケの心配は無用だなと思った。父もある意味同感だったのか、不思議な笑みを浮かべて診察室へ一緒に入って行った。

僕も時々銀行とかで似た体験をするのだが、そのままハイと言うことにしている。でも確かに心の中ではちょっとしたわだかまりは生じる。名前ってそんなもんだろう。義母はその点エライ!。合格!

親戚の叔父はメールアドレスには「tobe」と書いている。その息子の従兄弟も「トーベ動物病院」を営んでいる。確かにこっちの方がインパクトがあるように思える。洒落っ気もあるのかな?

因みに、僕は酔っぱらうと、「ワタリベ」論を展開する。物部氏的発想だ。不確かな歴史的根拠をさも最もらしく演説して、聴衆?の「へえ〜」度を上げている。ウソっぽいとは言いながら、何となく話の落ち着き具合がいいのである。変な僕。

(Update : 2004/06/12)