わたなべあきおWeb

優しさの階段(3)

農業で有機農法とか自然農法とかいうけれども、実はこれらは大変らしくて、ちょっとでも手を抜けば虫害でどんどん駄目になってゆくらしい。

農薬と虫との戦いは凄まじいものがあって、新しい薬で退治出来たと思ったら、又それに耐えうる抵抗力をもった虫が出現する。また次の強い薬を開発する。そしてまた・・・・完璧にイタチごっこだな。

大量生産を意図するからそうなるのだろうけれども、出来た物をいただく、成り残った果実をいただくと言うような事は、自給自足の生活者でもないかぎり、ありえないことなんだろうな。

人間の身体もまた一緒だな。新薬は次々に開発される。病気も次々に進化し凶暴化して肉体を蝕む。ここにもまたイタチごっこが繰り返されている。自然治癒能力は随分と遠くに置き去りにされた感じだな。

人の心も一緒だな。ピュアな心の持ち主は、むしろこの現代社会では生きにくい。自然で透き通った心の持ち主は、むしろ傷つき挫折し逃避する。

ホントはみんな持ち合わせた心なのに、この時代を生きるために本心を殺して、違う自分で生きようとしているんだろうな。そしてなまじっか(成金的)人生の成功者が出てくるから、それが世間の常識になってしまうんだろうな。まともな思考の持ち主は異端者と遠ざけられ、流行的なウケを狙った思想が蔓延する。

僕は自分の届く範囲で自分らしく生きたいと願っている。自分の届く範囲・・・家族・親族、知り得た人に対して、所属する組織・団体・クラブにおいて、飾らない自分ありのままで、優しさや思いやりや温もりが伝われば・・・と願っている。

みんな、鎧甲や裃を脱ぎ去れば良いのに。
ちょっとだけわがままを抑えれば、優しく伝わるのに。
ちょっとだけ相手の気持ちになってあげれば、誤解なく心触れあえるのに。
ちょっとだけ自分のことを後回しにすれば、お互い清々しくて気持ち良いのに。

ほんのちょっとだけでいいんだよ。

優しさの階段・・・いくつ上ったかな?

 
《雨が上がって》

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(Update : 2004/05/05)