ラウンド 1
ゴングが鳴り響いた。
僕は心の準備はできていたが、いきなりの先制パンチがきた。相手はヒットしたと思ったかも知れないが、瞬間僕はよけてパワーを吸収していた。
早いラウンドでのK.Oを狙っているわけではないので、僕は冷静にフットワークを使った。
相手が顔面だけに集中しているのは、読めてとれた。いつもこれで倒してきたという自信過剰の顔つきであった。
僕はボディーブローを根気よく打ち込み続けるつもりだ。カッとして撃ち合いになってしまったら、相手の思うつぼである。
今回心強い事がある。信頼するパートナーがセコンドに付いてくれたことだ。
そして何よりも僕には客席で見守る、心を託されたひとたちとの約束を果たさなければならない。それぞれの願いをエネルギーに換えて、次のラウンドに向わなければならない。
果てしない神経戦。僕の神経は擦り切れずに最後の勝利を聞く事ができるだろうか?
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