帆柱
俺がライバルにも値しないと無視すれば、彼奴は勝者気取りで闊歩する。
見かねて意見でもしようものなら、待ってましたと牙を剥く。
立ち向かい竹刀を合わせるその中に、虚しさを覚え引き下がろうとしたならば、後ろから嘲笑の礫を浴びせかける。
俺は咄嗟に真剣を抜こうとして・・・踏み止まった。
やはり・・・刃を交わす相手ではない。刀が錆びる。
彼奴は時代の象徴さ。
俺は小さな木の葉船。時の流れに翻弄されたフリをしよう。どんなに弄ばれひっくり返されようとも、心の帆柱は譲るまい。白帆は汚れ切り刻まれようとも、次なる帆を掲げよう。
春に咲く花
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