わたなべあきおWeb

雨の夜は・・・

もの思いに耽る 雨の夜です

しんみりとした心の中で 時がゆっくりと流れて行きます

雨の日の 独りのアパートは とても淋しかった・・・

でも・・・その重い空気が また好きな僕でもあった

窓をつたう雨の雫が 僕の涙と重なって ぼやけて見えた

隣の部屋のドアなのに 反応して腰を浮かす自分がいた

ありもしないことなのに・・・

誰も来るあてなどないくせに・・・

寝ころんで見る 壁のシルヴィーヴァルタンの横顔の

半開きの唇が好きだった・・・

そして 自然と口ずさんでいた・・・

♪恋の悦びに 輝いている・・・♪
♪あなたのために美しくなりたいの・・・♪
♪いつまでも愛して・・・♪

いつの間にか僕は深い眠りの中へ吸い込まれていった

そして 逢えるはずもないあなたが ドアをノックした

夢か 現実か 静寂が僕の判断を鈍らせた

目を開けると あなたは窓の雨に消えていった

 

(Update : 2004/03/30)