わたなべあきおWeb

家が泣いている

昨日は新築の家の完成引き渡しの日で、ちょっと遠方ではあったが、春の陽気に救われて、ドライブ気分で機器の使用説明に出かけた。

木の素材を存分に生かした、正に自然住宅、健康住宅なのだが・・・。当初から一抹の不安感はあった。それは建築主さんにすれば、関係のないことで済むのだろうが・・・。

お金がある、地位(肩書き)がある・・・だからと言って、人間が出来ているとは限らない。金に飽かして・・とまでは言わないが、そう思いたくなる雰囲気が最初からあったように思う。

引っ越しの慌ただしさを差し引いても、ご家族に心からの喜びが感じられなかった。残念に思った。それぞれの業者の説明も事務的で、僕には空虚に聞こえた。

どこの家でも、一歩玄関に入れば、大体その家の雰囲気は分かるものである。温かい感じ、冷たい感じ、和やかな感じ、だらしない感じ・・・。やはり、家は住むひとの心によって、どうにでも変わるものなのだと思う。

せっかくの外観的にも素材的にもすばらしい家なのに、残念ながらここは家が泣いてるなあ・・・と思ってしまった。対照的に町中の片隅の古家で、慎ましく、温かく生きている人達の事が思われ、あの家々は、家が喜んでいるなあ・・・との思いがふと浮かんでは消えた。

帰り道、物足りない気持ちではあったが、また心地よい春の陽光に和まされて、ハンドルを持つ手は軽くなっていった。

(Update : 2004/03/27)