この街を出て行こう
僕の口からサヨナラを言うのは、とても辛く躊躇する自分がいて・・・。
僕自身が別れを告げられた立場の心を、誰よりも痛いほど解っていたから・・・。
好きだという思いが強ければ強いほど、別れの仕打ちはその二乗倍に苦しくて・・・。
でもだからと言って、結末を隠してきみに合わせる自分には、男としての罪悪感が強すぎて・・・。
それに失恋で打ちのめされた今の僕には、か弱い(普通の)きみを守ってあげられるだけの自信と強さが持てなくて・・・。
でも・・・同じ街にいるという環境では、今度は僕の方が耐えられそうになくて・・・。
だから・・・僕はこの街を出て行こうと思うんだ。
勇気を持って、心を鬼にして、やはり告げよう。 サヨナラしよう。お互い深い傷を残さない今のうちに・・・。
「傷なんて・・・、想い出を・・・。」それは一時の感傷的思いだよ。きっと、きっと・・・将来こんな別れを、良かったと思うときが必ず来るさ。
だから・・・だから・・・僕はこの街を出て行こう。
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