詐欺師
僕は騙されやすい。と言うよりも、人を信じたい僕がいる。どんな人でも良心はあるだろうと思ってしまう。
大丸バイト時代、僕たち純情派?の前にSという男がやってきた。言動がすべてキザで、僕はイヤな奴と直感し避けたかった。ところが彼は言葉巧みに僕に近づいてきた。そもそもその時点で学生証を見せること自体が不自然なことなのだが、彼は東京W大学の学生証を見せて、「今ちょっと休学中で、あちこち体験旅行をしている」と言う。今思えばその学生証も怪しいものだが。
初日の初対面の夕方、僕たち4人組に「だれかしばらく泊めてくれないかな?」と目は僕を見て言った。4人の状況からして実際僕しか泊めてやれる人間はおらず、仕方なくOKしてしまった。
余談になるが、先日誰かが言っていたなあ・・・「スパイは情報にしろ何にしろもらうだけではダメだと言う。与えるんだと言う。そこに相手に信頼と油断が生まれるものらしい。
彼は僕には興味津々の、東京の話をばらまき、ライターのようなちょっとした小道具を「きみに進呈するよ」とテーブルに置いた。そして3日ほどおとなしく?間借り人を演じていた。
次の日彼は「安いアパートが見つかったから入ることにしたよ。ところで最低限の電気製品とか買いたいから、付いてきてくれよ」と自然な感じで頼んだ。じゃあと言うわけで買い物に付き合い支払いの時「ナベちゃん、ちょっと、ここにサイン頼むよ」「何のサイン?」「分割クレジットにするからさ」この時点で僕のアホさ加減が分かろうというものだが、はっきり内容確認をせずにサインしてしまった。
結果はご想像の通り、二回目支払いの日には、彼はもう京都にはいなかった。当然のことながら僕の元に支払い督促の連絡が入った。ガクッ!お人好し人生、一発目。
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