わたなべあきおWeb

転機(決断)V

会社を辞めてしばらく経ったころ、担当していた得意先から電話が入った。「何してるんや」「は〜、今失業保険もらってますけど・・・」「それはわかってる、次どうするんやって聞いてるんや」「は〜、まだ決めてませんけど・・・」「なんで挨拶ぐらいこんのや、おまえらしゅうないで」「は〜、スミマセン・・止められてまして・・・」「そうみたいやな、こないだ社長夫婦が来てな、おまえの悪口よ〜け言うて帰ったわ。おまえがそんな奴やないことくらい、わしはわかってるけどな。もし社長がお前のことを(のれん分け)さしたる位のこと言うてきたら、わしもつきあい止められへんけどな・・・。あそこまで言われたらな、わしやったら思いっきりかき回したるで・・・」「は〜、そうなんですか、そんなこと言うて行かはったんですか〜、情けな」「それでおまえどうするんや、この仕事やるんやろ!せっかくの経験勿体ないと思わんか」「ハイ、やります!」「それやったら話が早い。現場が出てきてるんや、今すぐにでも来い!」

僕は得意先へ向かった。そこの社長は「辞めたらもう敵や。食うか食われるかや。見返したるつもりでやってみい」と発破をかけられた。「ひいきにしてもらえる、もらえへんは別にして、ちゃんと挨拶回りだけはしとかなあかんで」ほんとに有り難いアドバイスをいただいた。

結局担当していた得意先の90パーセントが取引してくださることとなり、僕の新米事業は船出することとなった。

(Update : 2004/02/29)