手紙
思い切って マッチを擦った
膨大な枚数の手紙を 一枚一枚読み返しながら燃やした
炎の中で文字がゆがみ 言葉を発しているようだった
やがて涙声になり 燃えにくそうに煙となっていった
そっと浮かしてやると 決心したように一気に燃え上がった
心が辛くなり 残りを全部かためて投げ入れてしまった
火はその重みに耐えきれず 消えそうになった
まるで火自身が燃やすことをためらうかのように
ダメを押すようにもう一本マッチを擦った
端っこから サヨナラの声が聞こえたような気がした
形は消しても心は消えないと分かっていても
これも一段階と言い聞かせていた
時が解決するさ・・・他人事のような言葉が自分に覆い被さった
断片的な言葉の一語一語が僕の心に刻み込まれ
燃やす前以上に残ってしまった
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