町工場スピリット
浴室の改造工事を頼まれて、I氏宅へ向かった。玄関横に工場があり、入るとプーンと独特の油のにおいがした。何か昔懐かしいにおいだった。子供の頃鉄工所かなんかで嗅いだあのにおいと一緒だった。
I氏の仕事は精密金属加工で、大きな機械でも4〜5台あって、所狭しと、しかし効率よく配置されていた。こっちの仕事の話しになる前に、いろいろな自慢話(失礼!)を聞くこととなった。ところが、これがまたすこぶる面白い。冗談を交えての正に漫談を楽しませて頂いた。
持ち出される道具や部品にも興味を抱いたが、何よりも、話しの内に秘められた、職人根性(スピリット)に魅せられた。確実な技術に裏付けられた自信と余裕。とても及びもつかない世界だなと脱帽した。
驚いたのはそれだけではなかった。むしろ話しのメインはこっちの方だった。趣味の世界。まず山登り。そして写真。
山登りは国内は勿論、20日間位の行程で遠くネパールまで出かけるという。なんと羨ましいスケジュール。僕なんかそんなにいなかったら、首をくくらなければならない。旅行中の逸話?も興味深いことばかり。ほんとに僕も連れてってと言いたくなる。僕もチョットは山の経験者だから。
もう一つの写真。これはもうセミプロ。いやプロ級。入選作品やら講釈(褒め言葉)を聞いていても飽きない。また今度とばかりに本業の話しへ。
それにしても、すばらしきライフスタイルではないか。われもそうありたいと思いはするが、現実は現実。所詮器の差かとひとり納得。
柔和な顔立ち、冗談好きなしゃべり口調、しかし、その合間にチラリと見せる眼光の鋭さに、本物のスピリットを感じた。
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