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背景の記憶(208)

前記事の内容に似て、僕にも似通った経験がある。あれは高卒後の18歳のことか・・・僕はある宗教団体に所属していて、専従布教師の見習いとして、岡山県にある支部に派遣された。先輩先生のもとで種々勉強をさせていただいたわけだ。

ある日の事、未舗装の道路を先輩の運転するバイクの後ろに乗せられて走行中、車輪が砂利に引っ掛かって左右にぶれた。そのはずみで僕は後方に大きく振り落されて、顔面と言わず腰と言わず路面に激しく打ちつけられしまった。

その直後のことはまったく記憶がなく、気が付いたら僕は布教所の布団の上に寝かされていた。事故後まる二日、僕が記憶を失っていたらしい。所属していた宗教団体は、教義として余程の事がない限り、病院へは行かなかったのだ。

意識は回復したが、打撲は凄まじかったようで、僕は寝返りさえうてない状態だった。眼鏡と時計のせいで、右の眉毛の横と、右手首にかなりの傷を負っていた。一旦目覚めたものの、その後はまたしても昏睡状態となり眠りつづけたらしい。

布教所はご信者である農家の母屋の離れの二階にあった。母屋には横須賀に嫁いでいた娘のA子さんがお産のため帰省していた。25〜26才だったろうか。すでにお産を終えた身で、そのひとが僕の世話をしてくれた。赤ちゃんのことだけでも大変だったろうに、意識のない時も、ずっとそばにいてくれたらしいかった。

身体を拭いてくれたり、包帯を取り換えてくれたり、おそらくは下の世話もしてくれたろうに、僕にはその記憶がまったくない。二週間目にやっと僕は起き上がりトイレに行くことができたのだった。

事故から一週間くらい経ったとき・・・

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posted by わたなべあきお | - | -

背景の記憶(207)

 空には梅の花が、土には福寿草が、春の光をいっぱい浴びています。その光の中から嬉しいお便りが届きました。思いがけないお便りに接して、今日は一日、うきうきしております。
 歌友・・・なんてよい言葉でしょうか。三國さんのような方に、歌友なんて呼んでいただけて幸せいっぱいです。

 わが歌に熱きおもいを寄せたまいし君の消息絶えて久しも

・・・とかなしいい思いを詠まずにいられなかった時もありました。でも、三國さんの美しいお言葉の詰まったお便りをいただくだけで、そんな寂しい日々のことなど、吹き飛んでしまいます。

            「沈黙のひと」 小池真理子



亡き父にも・・・

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posted by わたなべあきお | - | -

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