「人間、若い間はまだ生な顔だが、四十を過ぎると、その人間の経験、思想、品様のすべてが第二の顔を作りはじめる。四十を過ぎた人は自分の顔に責任をもたねばならない。」
 その人が過ごしてきた人生が、一個の彫刻師として顔を作りあげるのだ。私は、四十以上の人と相対しているとき、その人の顔をながめて、その人の人生を見学する秘かな愉しみをもっている。

                     「顔の話」 福田 定一(司馬遼太郎)

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posted by わたなべあきお | - | -

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