背景の記憶(220)

人ごみの中に君を探した

なにか目印を聞いておけば良かった

快活な若者たちの中では息苦しい

僕はビルの隅っこに身を置いた

行き交う人々が川のうねりのように見えた

こんな時は動かないことだ

腕組みをして目を閉じてみる

君の笑顔が浮かんだ時

肩をトントン

ほら、やっぱりね

さっき見たそのままの笑顔の君が立っていた

目と目で会話して

僕たちはゆっくりと歩き始めた

握り合った手と手の会話もいつも通りだ

そんなふたりを背中の夕日が

僕たちの前に長い影を作った

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posted by わたなべあきお | - | -

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